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鬼畜眼鏡(本松、克御、御克、克克)と逆転裁判(御成、矢冥etc)を中心に活動するSSと絵サイトです。
Posted by - 2024.04.29,Mon
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Posted by 氷魚 - 2009.07.11,Sat


やっとこさ書き終えましたよー\(^o^)/
だらだら時間かけて書いてたので何やら大変な事になってます・・・orz
色々な解釈があるEDなのでびくびくしてます。
えーと登場人物は、 ・W克哉 ・御堂さん ・Mr.R    と+αです。
EDがEDだけにカオスな事になってます。メガミドですが克克臭がプンプンしますww
それとノマミドっぽいシーンも若干あります。
あと長いです。gdgdですがよろしければ追記へどうぞっ!



 






@望んだ融合

 

 

願っても祈ってもいくら説得してもあいつは帰ってこない。
オレには、あいつの代わりを演じるそのためだけにここに存在している。
<俺>はいない。ここにはいない。オレが呼んだって出てこない。
自分の心を失った<俺>は、もう帰ってはこない。誰が何を言おうとも返事はない。
・・・ただ一人を除いて。

「佐伯」

<俺>が愛した人。<俺>の心を拘束した、ただ一人の人。
自分を過信しすぎて消えてしまった<俺>を支えていた優しく強いヒト。
でも、もう。もうオレじゃこの人をこれ以上愛せない。
皆<俺>を必要としている。 オレ はもういらない。
早く出て来てよ、<俺>。お願いだからもうこの人を一人にはしないで。
オレが消えるから。お前の代わりに、俺が全部背負って消えてやるから。だから!

できるならば、彼らに救済を――――!

 

 

 


「お前は!佐伯克哉なんかじゃない!!」

ワイン瓶の硝子と香りで埋まった部屋に、御堂のヒステリックな叫びが脳髄にまで響く。
衣類や肌にべっとりと付いた赤は、硝子での怪我によった血なのか、ワインなのかいよいよわからなくなってきた。
へたりこむオレを余所に、御堂はワインや食器を手当たり次第に床に叩きつける。

「みど・・・さ・・・・・」
「お前は誰なんだ!佐伯を、佐伯を返せ・・・っ!!」
「・・・わから、ないんですか・・・?オレ、ですよ・・・」
「・・・っ、違う・・・・!お前は佐伯じゃない・・・!」

何故。何故この人はオレが<俺>でないといけないんだ。
オレじゃない<俺>をずっと求めて、声が枯れるまで泣き叫んで。
 オレ は、いらない。

「ねぇ・・・御堂さん。ゲームを、しましょうか・・・」
「・・・・・!・・・ふざけるな!誰が・・・」

虚ろな声で御堂に提案すると、予想通り御堂はそれを拒否した。
しかし御堂はオレの何かを諦めた様な声に何かを察したのか、瞳を揺るがせた。

「・・・<俺>を・・・取り戻せた方が勝ち、です。」
「・・・」

戸惑う御堂の目は、オレの眼鏡を一度通り過ぎ、ハッとしたようにもう一度見返した。
しゃがみこんで眼鏡のつるに指をかけ、小刻みに揺れる手でそれを外した。
一瞬頭が殴られたように痛み、しかしそれは長くは続かなかった。

「・・・次は、オレの番」
「・・・・っ」

もはや眼鏡などには何の効力もない。
欲しいのは、<俺>が殻を内側から破る勇気ときっかけ。
すいません、御堂さん。オレは、あなたを――――。

「・・・オレはあなたを、傷つける。ごめんなさい・・・」
「な、に・・・・・っ!!やめ、ろ!!はなせ!」

御堂の肩に手をかけ、無理やりに押し倒す。
顔から血の気が引いた御堂は、手足を縦横無尽に振り回し抵抗を図る。

「<俺>が一度あなたを壊した方法で、オレがもう一度壊します・・・。・・なぁ<俺>、どう思う?」
「やめろ・・・、やめてくれ・・・っ」

自嘲の念を込めて自分自身に笑いかける。
お前が逃げて一人で消えてオレが傷ついたように、この人にもオレと同じ傷をつけようか?
なぁ、答えろよ、<俺>!

「やめ・・・ひ、うあっ・・・」
「フッ・・・体は正直ですね。触っただけですごい反応だ」

あいつの口調で、あいつの言葉で、あいつと同じ顔で、オレは偽りの<俺>を御堂に見せる。
偽りの<俺>は<俺>に届く?
お前が戻ってくれば全て元通りになるんだ。

元通りに・・・。

手が止まった。<俺>からは何の反応もない。
どうして。お前は、<俺>は・・・御堂が傷つけられてもいいのか!
<オレ>の中でただ虚ろな瞳を虚空に彷徨わせる<俺>は、こちらに目も向けていなかった。
御堂は固まったオレの手をパッと払いのけ、体を後ろに引いた。

「お前は私の知っている佐伯ではない・・佐伯は変わった!私の佐伯は、こんな事は二度としないと・・・そう誓った!!」

この人は、こんなにもお前を愛しているのに。
またぽろぽろと涙を流しだした御堂を見て、オレの中で何かが弾けた。

「・・・だったらどうしろって、どうしろって言うんですか!<俺>を戻せるのはあなたしかいないのに!オレにはできない!オレは、必要ない存在で・・・皆が求めているのはあいつだけ!あいつが生み出した弱いオレなんか、誰も愛していない!」

堰を切った様に醜い感情があふれ出す。瞳からは生暖かい涙が重力に従い落ちていく。
目を向けずとも御堂がどんな顔をしているのかわかる。きっと呆れてる。
(駄目だ・・止まらない。)

「オレはあいつを愛してた!オレとは違って仕事が出来て、頭がよくて・・・。そんなあいつにずっと憧れてた!」
「さえ・・・佐伯・・・っ・・」
「言ったんだ、オレは。オレに逃げてしまえば、もう苦しくないって!昔みたいに逃げてしまえって!そうすればオレはあいつを守れるから・・・!でも違う、あいつは逃げてもその苦しみから逃れられなかった。逃げた事でさらに苦しんだ!自分を信じすぎて自分を失った!」

言葉も涙も止まらなかった。
御堂が時々口を挟むが、何を言っているのかまるで分らなかった。
まるで吐血しているかの様な新たな苦痛と、古い毒が抜けていく様な倒錯感が体を駆け抜ける。

 

その時だった。

 

「ならば貴方がたも消えてしまえばいい。そうでしょう?佐伯克哉さん」

 

喪服の様な漆黒の服を身に纏った男、特徴的な金色の長髪。
神秘的とも言える世から浮き立った存在。あぁ、確かこの男は。

「Mr.R・・・・」

オレ達の人生を変え、そして狂わせた悪魔。
この男の言葉に耳を傾けるな、聞いてはいけない。
昔聞いた事がある。人を酔わせる甘美な言葉はまるでアルコールだ。
オレは視線の先の男を鋭く睨み付けた。

「おや、貴方もその様に私を憎まれるとは。ご自分で道を歪ませてしまったのに、どうして私が罪を受けなければいけないんでしょうかねぇ」

やめろ、動揺するな。反応したらおしまいだ。

「・・・」

(御堂さん、聞かないで。じっとしていて下さい)
目で合図を送ると、御堂もRの異様な雰囲気に気づいたのかこくりと素直に頷いた。
さっきオレが取り乱したのを見て少し冷静になったらしい。

「人は脆く儚い。そちらの貴方も同じ。自我を失ってまで焦がれるあの方を取り戻したいと・・・まるで自分はあの方無しでは生きていけないとでも?あぁ、愚かですね」
「・・・・・っ」

御堂が息を飲む。
オレの方はこの黒ずくめの男を殴りたいほどに、殺したいほどに頭に血が上っている。
オレは勢いに任せてゆっくりと口を開いた。

「・・・オレは、オレ達は・・・貴方の言葉には惑わされない。貴方はオレたちの望む事を全て分かっているんでしょう。けど貴方はきっと協力なんかしない。見捨てたんでしょう、オレ達を。」
「・・・貴方も口が達者になったものですね。しかし仰っている事は正解ですよ。私は何もしませんので」

挑発するようなRの態度にギリリと歯噛みする。
なら何故ここに来たのか。言いたい事は山ほどあるがひたすら耐える。
するともう一つの影が動いた。

「・・・!みど・・・っ」
「平気だ。心配するな」

 

 

あぁ、今、御堂さんが。


御堂さんが、笑った。

 

 

「そこの男」
「はい、なんでしょうか?」


丸いレンズの先に意地の悪い瞳がうつった。


「君はどうやってここに入ったんだ」
「私が通れない扉はありませんよ。そこの佐伯克哉さんならよく知っているはずですが」


深い紫の頭髪と、闇に浮き上がった金髪。


「無駄口を叩くな。私は質問の答えだけを聞いている」
「おやおや、叱られてしまいましたね」


俺の前にいるのは――御堂?


「次の質問だ。君は何者だ?佐伯の知人か?」
「しいて言うなら・・・・彼に使える召使のようなものでしょうか。もちろん、もう一人の佐伯克哉さんのですが」


なぜ御堂が俺の前にいる?俺がいたあの部屋は。


「把握した」
「左様ですか」


御堂は誰と話をしている?俺は誰だ。


「話は済んだ。帰りたまえ」
「・・・私の用事はまだ済んでいませんよ」


・・・Mr.R?どうして俺を見て笑うんだ。――どうしてお前と御堂が一緒にいるんだ!


「――佐伯?」
「・・・・お目覚めですか?・・・・佐伯克哉さん」


サエキ カツヤ?


「・・・みど・・・」
「さえ・・・き?佐伯なのか・・・?」
「すいませんでした・・・御堂さ・・・っ」


あぁ、そうか。
今度は<オレ>が消えてしまったのか。


「佐伯っ!!佐伯・・・さえ・・・、佐伯・・・っ」
「俺は・・・俺ですか・・・・?本当に俺なのか・・・・?」
「あぁ、お前だ。不遜で傲慢な・・・私の佐伯だ・・・っ!だから、もう泣くな・・・泣かないでくれ・・・」


御堂はずっと泣いていた。
泣きながら俺を抱きしめていた。離さないとでも言う様に、強く。
泣くな、と言おうとしたが御堂に先に言われた。
さっきから鬱陶しかった生温い雫は涙だったのか。
止まらないそれは俺の頬や腕を伝い御堂にまで伝わっていった。
御堂の涙も同じで、温もりが背に落ちてくすぐったい。
金髪の男はいつの間にか闇に溶け、代わりにテーブルに眼鏡を残していった。
そして一つだけ埋まらなかったピース。<オレ>自身だった。
殻の中で微かに聞こえた<オレ>の声。俺が消えた空白感があいつにとって一番の苦痛だったらしい。
けれど、今の俺にはそれがない。空白など感じない。<オレ>は消えたのに・・・。

・・・・・違う。

消えてなんかいない。いる。近くに<オレ>がいる!どこだ、どこにいる。出て来い!
すぐ近くにいる筈なんだ。俺にはわかる!


「・・・佐伯・・・?」
「・・・すまなかった。御堂・・・」
「いいんだ、謝罪なんてしないでくれ・・・」

御堂に抱きつかれた体制のままテーブルに手を伸ばす。

―――これが、お前か。

腕の力を緩め心配そうに見つめる御堂にふっと笑いかけながら眼鏡のつるを伸ばす。
随分前に味わった感覚が蘇る。視界が歪んで頭がずしりと重くなる。
だが、それよりも強い何かが自分の中に入り込んでくる。いや、戻ってくる。

『オレが消えると思った?』

 お前が消えても俺はどうも思わないがな。

『ひどいなぁ、オレ、大変だったんだぞ。お前が引きこもってる間・・・』

 それは悪かったな。

『言っとくけどオレには筒抜けなんだからね。お前の心の声』

 どういう意味だ?

『まぁ、読むまでもないけどね?だって、お前・・・』

 俺が泣いてるのは知ってる。それがお前に何の関係がある?

『・・・そういう強がりな所直した方がいいよ・・・』

 泣いてるのはお前もだろう?俺にだってわかるぞ。
 ・・・俺は、お前なんだからな。

『・・・うん、そうだね。・・・お前は、オレだから。』


そう言って、<オレ>は無駄に嬉しそうな顔で笑った。


『おかえり、<俺>!』
 
 ・・・・ただいま。


俺は、ちゃんと笑えただろうか。

 

 

 

 

 

 


それから数日が経った。
アクワイヤ・アソシエーションの方も少しは頭が回るようになっていた<オレ>が代役を務めたおかげで定型を保てていた。
あれから散らかった部屋を片付け、御堂に全てを話した。
過去の事も、もう一人の自分の事も。
最初は困惑していたが真剣に話に耳を傾けていた御堂を愛しく思った。
話が終わってから御堂が「話してくれてありがとう」なんて言うから、たださえ緩んでいた涙腺が柄にもなくまた崩壊しそうになった。

 

 

 


「佐伯!この取引の事なんだが・・・」
「あぁ、それなら藤田の方が詳しいからそっちに聞いてくれ」
「あっ、ハイ!えぇっと資料は・・・っと、ありました!」
「いつも悪いな、藤田。ありがとう」
「・・・・佐伯・・」
「・・・社長ってよく笑うようになりましたよねっ」
「そうか?」
「確かに前より優しくなったな・・・」
「ですよねー、何か・・・人間ぽくなったっていうか!」
「・・・藤田、デスクを埋めてほしいか?」
「あっ!そういう事じゃないんです!だから俺のデスクに資料の山を作らないでー!!」
「ほらほら、いいからさっさと仕事をするぞ!佐伯も藤田をいじめるな・・・」
「ちっ」
「舌打ちするな!子供か、全く・・・」
「休憩だ、休憩」
「まだ始業して間もないだろう!馬鹿を言うな、全く・・・・・、っ!」
「あれ、社長と御堂さん、唇がくっ付いてますよ・・・・って、えぇーっ!」
「「「「えっ・・・、キャ―――!!」」」」

 


「んっ・・・・!さっ、さえ・・・・佐伯ぃぃぃぃ!!」

 

 

 

 

 

願わくば当分は、穏やかな日常を。

 

 

 

 

 


*end*

 

 


すいませんでした!

☆補足
SSの初めは眼鏡とノマが入れ替わってから(眼鏡が消えてから)数日後の設定です。
御堂さんはやっぱりすぐに克哉の変化に気づいちゃうと思います。
問い詰めても答えない克哉に痺れを切らして~とかノマが口を滑らせた~とか
その辺は色々妄想していただけると嬉しいです・・・っ!(蹴
あと私の力不足で表現しきれなかったんですが、
今回のSSの鍵になっている人物はRですよーっ!ってこれだけはいいたかったんです。
Rは克哉達にとって一番憎い相手で、SSだけ読むと別に出てこなくてもいい人物ですよね。
けどこのお話で一人だけ幸せになれなかったのはRなんですよーって。
Rは一番人間らしくない(ってか人外)けど、それでも変わらないって事はないんじゃないかなとか思いまして。
現れた瞬間から克哉に存在を否定されて、Rにも思う所があったんじゃないかなと。
心の内に生まれたその違和感を探って、Rの何かが変わればいいなって意味で登場させました。
まとめると、
Rが克哉の前に現れて何もしない訳がない。けど、それは克哉達にとって悪い事ではない。
Rはそれを示すために故意に新しい眼鏡(眼鏡と融合しかけたノマをもう一度覚醒させるための眼鏡)を置いて消えたって解釈をしていただけると嬉しいです。
ま、まぁこのSSではRは悪い人ではないって事だけ知ってもらえれば!

ひー、読み返すと何でRについて語ってるのか全くの謎なんですがww
えっと、それで・・・散々フラグ立てましたが・・・・


次のSSはRさんのお話になります!

長くなりそうなのでまた間を空けてしまいますが、予告だけでも!
今回のSSに直接関連付けはしませんがこれを踏まえての新しいお話です。もちろん不幸にはさせませんよ。
特にCP指定はない予定ですが、カオスになる事は間違いないですw
えー、では乞うご期待!




 

 

 

 

 

 

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氷魚
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ぐーたら会社員
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お絵かき・らくがき・言葉遊び
自己紹介:
↑眼鏡っぽいスーツが無かったorz

氷魚って書いて「ひお」
一体あと何回改名すれば気が済むの!
土日はお休み。
割とマイナーCP萌え。
最近は鬼畜眼鏡の松浦と眼鏡受けにハァハァ
とりあえず栄口は俺の嫁。

はじめに
バナーはここに置いてあります。
リンクフリーなのでお気に召した方はどうぞヾ(゚Д゚)シ




気が向いたらぽちっと!
拍手のお礼は鬼畜眼鏡の皆さんがしてくれるようです。

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